貸金業者と借り手の契約は、消費者契約法の対象になることがあります。だまされて結んだ契約を取り消せる仕組みと、不当な条項を無効にする仕組みを見ていきましょう。
先生、『消費者契約法』ってどんなときに関わってくるんですかぁ?
消費者契約法は、消費者と事業者の間の契約全般に適用される法律なの。
貸金業の契約もこの対象になり得るわ。
もし業者にウソを言われて契約しちゃったら、どうなるの?
重要な事項について事実と違うことを告げられて誤認したなら、不実告知として契約を取り消せるのよ。
先生、将来のことを言い切られた場合はどうですか。
たとえば「絶対に得をする」といった言い方です。
それは断定的判断の提供ね。
将来変動する不確実なことを断定されて誤認したときも取り消せるの。
ふぇぇ〜、契約の中身がひどいときも守ってもらえますかぁ?
ええ。
消費者に一方的に不利な不当条項は無効になるの。
たとえば事業者の責任を全部免除する条項などね。
取消しと無効は区別が必要ですね。
だまされた場合は取消し、条項そのものが不当なら無効、という整理で合っていますか?
そのとおり、よく整理できているわ。
原因と効果を対応させて覚えるのがコツよ。
要は『だまされたら取り消せる、ひどい条項は最初から無効』ってことじゃん?
ふふ、その一言で本質を突いているわね。
ここは頻出だから確実にね。
取消しと無効、ごっちゃにしないよう気をつけますぅ。
続いて、2023年に施行された改正で広がった決まりを確認します。困惑による取消しの対象と、無効になる条項が増えました。
困らせて契約させるパターンって、帰ってくれない・帰してくれない、のほかにもあるの?
あるわ。
2023年6月1日に施行された改正で、三つ加わったの。
勧誘することを告げずに、帰りにくい場所へ連れて行って勧誘すること。
契約するかどうかを誰かに相談するために連絡したいと言ったのに、威迫する言動を交えて、その連絡を妨げること。
契約の前に目的物の現状を変えてしまい、元に戻すのを著しく難しくすること。
どれも、困惑して結んだ契約を取り消せるのよ。
ふぇぇ〜、取り消せるのは、いつまでなんですかぁ?
取消権の行使期間は、追認をすることができる時から1年間、契約を結んだ時から5年までよ。
ただし、霊感などによる知見として不安をあおる勧誘については、2023年1月5日から、3年間と10年に延びているわ。
先生、無効になる条項のほうにも改正がありましたよね。
ええ。
事業者の損害賠償責任の一部を免除する条項は、軽い過失による行為にだけ適用されることを明らかにしていないと、無効になるの。
「法令に反しない限り、1万円を上限として賠償します」のような書き方は無効で、「軽過失の場合は1万円を上限として賠償します」なら有効、という違いね。
要は『困らせる手口の取消しが増えて、あいまいな免責条項もアウトになった』ってことじゃん?
ふふ、そのまとめでいいわ。
確認クイズ
消費者契約法に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 事業者どうしの契約にのみ適用される法律である
- 重要事項について事実と異なる告知を受けて誤認した消費者は、契約を取り消すことができる
- 消費者に一方的に不利な不当条項であっても、契約であれば常に有効である
- 将来の不確実な事項について断定的判断を提供されても、消費者は一切保護されない
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正解: 2. 重要事項について事実と異なる告知を受けて誤認した消費者は、契約を取り消すことができる
正解は2。消費者契約法は消費者と事業者の間の契約に適用され、不実告知や断定的判断の提供などで誤認して結んだ契約は取り消すことができます。また、消費者の利益を一方的に害する不当条項は無効とされます。
確認クイズ
消費者契約法の取消権と無効な条項に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 消費者契約法による取消権は、追認をすることができる時から5年間行使できるほか、契約の締結の時からの期間の制限はない
- 勧誘をすることを告げられずに退去困難な場所へ同行され、その場所で勧誘を受けて困惑して結んだ契約は、取り消すことができる
- 事業者の損害賠償責任の一部を免除する条項は、どのような書き方であっても有効である
- 契約について相談するために第三者へ連絡したいと告げた消費者を、威迫する言動を交えて妨げても、取消しの原因にはならない
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正解: 2. 勧誘をすることを告げられずに退去困難な場所へ同行され、その場所で勧誘を受けて困惑して結んだ契約は、取り消すことができる
正解は2。2023年6月1日に施行された改正で、勧誘をすることを告げずに退去困難な場所へ同行して勧誘する行為や、威迫する言動を交えて相談の連絡を妨げる行為などが、困惑による取消しの対象に加わりました。取消権は、追認をすることができる時から1年間、契約の締結の時から5年で消滅します(霊感等による告知の場合は3年間・10年)。また、損害賠償責任の一部を免除する条項は、軽過失による行為にのみ適用されることを明らかにしていないと無効です。