判決を得ても相手が払わなければ意味がありません。財産から強制的に回収する民事執行と、事前に守る民事保全を学びましょう。
先生、裁判で勝っても相手が払わなかったら、どうにもならないの?
そんなことはないわ。民事執行で、強制的に回収できるのよ。
補足すると、代表例は強制執行ですね。
財産を差し押さえて回収します。
そのとおり。
強制執行をするには、原則として債務名義が必要なの。
ふぇぇ、その『債務名義』って何ですかぁ?
債務名義よ。
確定判決や和解調書、執行証書などがこれにあたるの。
抵当権などの担保権を持つ場合は、担保権の実行として競売を申し立てることもできますよね。
よく押さえているわ。
担保権実行なら、必ずしも判決を得なくても実行できるのが強みね。
でもさ、裁判してる間に相手が財産を隠したら意味ないじゃん?
だから事前に守る民事保全があるのよ。
金銭債権なら仮差押えね。
金銭債権以外の権利については、仮処分で保全するという理解で合っていますか?
合っているわ。
仮差押えと仮処分、この二つが民事保全の柱よ。
先に守っておいてから回収する、という流れなんですねぇ。
続いて、2026年4月1日に施行された民法の改正を確認します。養育費などの債権に先取特権が付き、貸金などの一般の債権より優先して回収されるようになりました。
先生、担保権の実行といえば、2026年4月1日から、養育費にも担保権が付くようになったと聞きました。
ええ。
民法の一般の先取特権に、『子の監護の費用』が加わったの。
共益の費用、雇用関係、子の監護の費用、葬式の費用、日用品の供給の5種類になったのよ。
ふぇぇ、養育費なら全額が優先されるんですかぁ?
いいえ、上限があるわ。
先取特権が付くのは、毎月支払う養育費などのうち、子ども1人につき月額8万円までの部分よ。
それって、お金を貸してる側には関係あるの?
大ありよ。
養育費を受け取る側は、その範囲なら債務名義がなくても債務者の財産を差し押さえることができて、しかも貸金のような一般の債権より優先して弁済を受けられるの。
同じ債務者から回収しようとする貸金業者から見れば、先に弁済を受ける債権が増えた、ということね。
担保権の実行なので債務名義が要らない、という点は、先ほどの抵当権と同じ考え方ですね。
確認クイズ
民事執行・民事保全に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 強制執行をするには、原則として債務名義が必要である
- 確定判決は、債務名義には当たらない
- 仮差押えは、金銭債権以外の権利を保全するための手続である
- 抵当権を実行するには、必ず確定判決を得なければならない
こたえを見る
正解: 1. 強制執行をするには、原則として債務名義が必要である
正解は1。強制執行には、原則として債務名義(確定判決・和解調書・執行証書など)が必要です。確定判決は代表的な債務名義であり、仮差押えは金銭債権の保全手続で、担保権の実行は必ずしも判決を要しません。
確認クイズ
2026年4月1日に施行された民法の改正(子の監護の費用の先取特権)に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 養育費の債権には担保権が認められないので、その差押えには必ず確定判決などの債務名義が必要である
- 一般の先取特権は、共益の費用・雇用関係・葬式の費用・日用品の供給の4種類であり、子の監護の費用は含まれない
- 子の監護の費用の先取特権は、養育費の全額について、金額の上限なく認められる
- 養育費などの定期金のうち、子1人につき月額8万円までの部分には先取特権が付き、一般の債権者に優先して弁済を受けることができる
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正解: 4. 養育費などの定期金のうち、子1人につき月額8万円までの部分には先取特権が付き、一般の債権者に優先して弁済を受けることができる
正解は4。2026年4月1日に施行された改正で、一般の先取特権に「子の監護の費用」が加わり、共益の費用・雇用関係・子の監護の費用・葬式の費用・日用品の供給の5種類になりました。先取特権が付くのは、養育費などの定期金のうち、子1人につき月額8万円までの部分です。その範囲では、債務名義がなくても債務者の財産を差し押さえることができ、一般の債権者に優先して弁済を受けられます。